喉がズキズキして眠れない夜は、本当につらいものです。横になった途端に痛みがひどくなって、何度も目が覚めてしまう方も少なくありません。
実は、夜に喉の痛みが強まるのには科学的な理由があります。この記事では、寝る前の喉のケアから寝姿勢の工夫、飲み物や市販薬の選び方まで、今夜すぐに試せる方法を具体的にお伝えします。痛みの原因別の対処法や、病院に行くべきタイミングの目安もまとめました。
なぜ夜になると喉の痛みがひどくなるの?
昼間は我慢できていた喉の痛みが、夜になると急につらくなるのは気のせいではありません。体のホルモン変動、姿勢の変化、そして空気の乾燥という3つの要因が重なるためです。
炎症を抑えるホルモンが夜に減る
夜間は体内の抗炎症ホルモンが減少するため、喉の腫れや痛みを強く感じやすくなります。このホルモンはコルチゾールと呼ばれ、体内で「天然の抗炎症薬」のように働いています。朝に最も多く分泌され、夜にかけて低下するリズムがあります。
さらに、体の免疫システムは夜間に活発になる傾向があります。免疫が働くこと自体は回復に必要なプロセスですが、炎症反応が強まることで痛みも増してしまうのです。
横になると鼻水が喉の奥に流れ込む
横になる姿勢そのものが、喉への刺激を増やす大きな原因になっています。日中は立っているため鼻水は自然に下へ流れますが、横になると鼻の奥にたまった粘液が喉の後ろ側へ流れ落ちてきます。これを後鼻漏(こうびろう)と呼びます。
この粘液が炎症を起こしている喉の粘膜を刺激して、痛みやイガイガ感がいっそう強まります。風邪や副鼻腔炎で鼻水が多いときは、特にこの影響が大きくなります。
口呼吸で喉の粘膜が乾燥する
睡眠中の口呼吸は鼻呼吸に比べて喉から多くの水分を奪い、粘膜を急速に乾燥させます。鼻がつまっていると自然と口で呼吸するようになるため、風邪のときは特に影響が大きくなります。
乾いた粘膜は刺激に対して敏感になり、痛みを感じやすくなります。冬場の暖房による空気の乾燥が加わると、この悪循環はさらに強まります。
喉が痛い夜にまず試したい応急ケアは?
手軽にできて即効性のある方法は、はちみつ入りの白湯、塩水うがい、マスク着用の3つです。どれも特別な道具がなくても今夜から始められます。
はちみつ入りの白湯で喉を潤す
はちみつは喉の粘膜を保護しながら炎症を和らげる働きがあり、寝る前のケアとして手軽で効果的です。ぬるめの白湯にスプーン1〜2杯のはちみつを溶かして、ゆっくり飲んでみてください。
喉を直接コーティングするように、少しずつ飲み込むのがコツです。冷たすぎる飲み物は喉の筋肉を収縮させることがあるため、人肌〜少し温かいくらいの温度がおすすめです。
ただし、1歳未満にはちみつは絶対に与えないでください。ボツリヌス症のリスクがあるためです。
塩水うがいで炎症を和らげる
塩水うがいは喉の腫れた組織から余分な水分を引き出し、炎症を一時的に軽減してくれます。コップ1杯(約200ml)のぬるま湯にティースプーン半分ほど(約2〜3g)の食塩を溶かして、15〜30秒ほどガラガラとうがいしてください。
寝る直前に行うと、喉が潤った状態で眠りにつきやすくなります。
マスクをして寝ると自分の呼気で加湿できる
就寝用マスクは道具なしで喉を加湿できる、もっとも手軽な方法のひとつです。自分の吐く息に含まれる水蒸気がマスクの内側にとどまり、喉まわりの湿度を保ってくれます。加湿器がない場合や、すぐに対策したいときに手軽に取り入れられる方法です。
通気性のよいガーゼマスクや、就寝用に作られた保湿マスクがおすすめです。息苦しさを感じる場合は無理せず外してください。
喉の痛みが楽になる寝姿勢はある?
上半身を少し高くして寝るのが効果的です。後鼻漏や胃酸の逆流による喉への刺激を物理的に減らせます。
枕やクッションで上半身を15〜20度ほど挙げる
上半身をゆるやかに持ち上げるだけで、喉に流れ込む鼻水と胃酸の逆流を同時に軽減できます。枕をもう1つ追加したり、バスタオルを折りたたんで枕の下に敷いたりして試してみてください。首だけが曲がると逆に喉が圧迫されるため、肩から上が自然な傾斜になるように調整するのがポイントです。
この姿勢は、鼻水が喉に流れ落ちるのを防ぐだけでなく、胃酸の逆流を抑える効果もあります。
横向きで寝ると喉への圧迫が減ることも
横向きの姿勢は仰向けに比べて舌の根元が喉に落ち込みにくく、気道が確保されやすくなります。胃酸の逆流が気になる方は、左側を下にして横向きに寝ると、胃の構造上逆流が起きにくくなるといわれています。
抱き枕やクッションを背中側に置くと、寝返りを打っても横向きの姿勢をキープしやすくなります。
寝室の湿度は喉の痛みにどう影響する?
寝室の湿度が40%を下回ると、喉の粘膜が乾燥してバリア機能が低下し、痛みが悪化しやすくなります。40〜60%の湿度を保つことが目安です。
湿度40%を切ると粘膜の防御力が落ちる
室内湿度が40%を下回ると、喉の粘膜を守る粘液が乾燥して防御力が大幅に低下します。喉や鼻の粘膜は、表面を覆う粘液の層で外からの刺激やウイルスを防いでいます。空気が乾燥すると粘液の水分が蒸発して粘度が上がり、繊毛(粘液を運ぶ微小な毛)の動きが鈍くなります。その結果、異物を排出する自浄作用が低下して、炎症が悪化しやすくなるのです。
さらに、多くの風邪ウイルスは低湿度の環境で長く生き残りやすいこともわかっています。
加湿器がないときの応急的な加湿方法
加湿器がなくても身近なもので寝室の湿度を上げることは十分に可能です。
- 濡らしたバスタオルを枕元にかける(蒸発する水分で周囲が潤います)
- 洗面器やボウルにお湯を入れて枕元に置く(やけどに注意してください)
- 入浴後に浴室のドアを少し開けて、蒸気を寝室に流す
- 就寝時にマスクを着用する(前述の方法)
これらの方法は一時的なものですが、今夜を乗り切るには十分に役立ちます。長期的には、寝室用の加湿器を用意しておくと安心です。
寝る前の飲み物は何を選べばいい?
温かい飲み物が喉の血流を促し痛みを和らげます。ただし、飲み物の種類によっては喉を刺激してしまうこともあるため、選び方を知っておくと安心です。
温かい白湯やハーブティーがおすすめ
40〜50度くらいの白湯は喉を直接温めて血行を促し、粘膜に水分を補給してくれるため、痛みの緩和に役立ちます。はちみつを加えるとさらに効果的です。
カフェインを含まないハーブティー(カモミールやペパーミントなど)も良い選択です。リラックス効果もあるため、眠りにつきやすくなる面もあります。
避けたい飲み物とその理由
一方で、喉への刺激や覚醒作用がある飲み物は逆効果になる可能性があります。
- コーヒーや緑茶などカフェイン入りの飲み物は、覚醒作用で眠りを妨げます
- アルコールは一時的に痛みを忘れさせますが、粘膜の炎症を悪化させ、睡眠の質も低下させます
- 炭酸飲料やオレンジジュースなど酸味の強い飲み物は、炎症を起こした喉を刺激します
- 極端に熱い飲み物は粘膜を傷つける可能性があるため、少し冷ましてから飲みましょう
喉の痛みに市販の鎮痛薬は使ってもいい?
喉の痛みがつらくて眠れないときは、市販の鎮痛薬を使うことも選択肢のひとつです。就寝の30分〜1時間前に服用すると、薬が効き始めたタイミングで眠りにつきやすくなります。
アセトアミノフェンとイブプロフェンの違い
喉の痛みに使える代表的な鎮痛薬はアセトアミノフェンとイブプロフェンの2種類で、それぞれ作用の仕方が異なります。自分の体質や症状に合ったものを選びましょう。
| 比較項目 | アセトアミノフェン | イブプロフェン |
|---|---|---|
| 主な作用 | 鎮痛・解熱 | 鎮痛・解熱・抗炎症 |
| 喉の痛みへの効果 | 痛みと熱を抑える | 痛みと熱に加え、腫れも抑える |
| 胃への負担 | 比較的少ない | やや負担がかかることがある |
| 向いている人 | 胃が弱い方、妊娠中の方(医師に相談の上) | 喉が腫れて痛い方 |
就寝前の服用タイミングと注意点
痛みが和らいだ状態で眠りにつくには、就寝の30分〜1時間前の服用がベストです。薬の効果が出るまでには通常20〜30分ほどかかるため、早めに飲んでおくとベッドに入る頃には痛みが和らいでいるはずです。
- 空腹時の服用は避け、軽く何かを食べてから飲むと胃への負担を減らせます
- 用法・用量を必ず守り、痛みがひどいからと自己判断で量を増やさないでください
- 他の薬(風邪薬など)と併用する場合は、成分が重複していないか確認してください
- 3日以上続けて服用しても改善しない場合は、医療機関の受診を検討してください
口呼吸が喉の痛みを悪化させているって本当?
口呼吸は喉の粘膜を直接乾燥させるため、痛みの悪化と睡眠の質の低下を同時に引き起こします。風邪で鼻がつまっているときは特に注意が必要です。
鼻づまりを和らげてから寝る
寝る前に鼻づまりを少しでも解消しておくことが、口呼吸を防ぐ最も効果的な方法です。鼻がつまったまま寝ると自然と口呼吸になり、喉の乾燥が進んでしまいます。
- 蒸しタオルを鼻の上にあてると、温かい蒸気で鼻の通りが一時的に改善します
- 市販の鼻腔用スプレー(生理食塩水タイプ)で鼻の中を洗い流す方法もあります
- 入浴時に湯気を吸い込むと、鼻の粘液がやわらかくなり排出されやすくなります
口呼吸を防ぐ工夫
鼻の通りがある程度確保されている方には、寝ている間の口呼吸を物理的に防ぐ方法も効果的です。
市販の口閉じテープ(マウステープ)を唇に軽く貼って寝ると、睡眠中の口呼吸を物理的に防げます。ただし、鼻がひどくつまっている場合は息苦しくなる危険があるため、使用しないでください。
横向きの寝姿勢も、仰向けに比べて口が開きにくいため、口呼吸の軽減に役立つことがあります。
喉の痛みの原因によって対処法は変わる?
同じ「喉の痛み」でも、原因が違えば効果的な対処も変わってきます。自分の症状と照らし合わせて、原因のヒントを探ることで、より的確なケアにつなげられます。
風邪と扁桃炎の見分けかたのヒント
風邪は複数の症状が広く出るのに対し、扁桃炎は喉の強い痛みと高熱に集中するのが大きな違いです。風邪の場合は、喉の痛みに加えて鼻水、くしゃみ、軽い咳など「全身にわたる複数の症状」が出ることが多いです。痛みは中程度で、多くの場合3〜7日で自然に改善していきます。
一方、扁桃炎では喉の奥が赤く腫れて白い膿がつくことがあり、飲み込むときに強い痛みを感じます。38度以上の高熱が出ることも多く、首のリンパ節が腫れて押すと痛いのも特徴です。
胃酸の逆流で喉が痛む場合の特徴
風邪の症状がないのに喉だけが痛い場合は、胃酸が食道を通り越して喉まで上がってくる「咽喉頭逆流症」の可能性があります。特に以下のような特徴がある場合は、この可能性を考えてみてください。
- 朝起きたときに声がかれている、喉に違和感がある
- 食後に横になると喉がヒリヒリする
- 胸やけはないのに喉だけが痛い
- 痰がからむ感じや、喉に何かつかえている感覚がある
心当たりがある場合は、夕食後2〜3時間は横にならないようにし、上半身を高くして寝ることで症状が和らぐことがあります。
乾燥が主な原因のケース
朝起きたときだけ喉がカラカラに乾いて痛むケースは、感染症ではなく空気の乾燥が主な原因である可能性が高いです。冬場やエアコンの効いた部屋で寝ている方に多く見られます。
この場合は、加湿や口呼吸対策がもっとも効果的です。数日の加湿で痛みが改善するなら、感染よりも乾燥が原因だった可能性が高いといえます。
喉が痛くて眠れないと回復が遅れる?
睡眠不足は免疫機能を低下させることがわかっており、風邪からの回復が遅れる可能性があります。痛くても、少しでも眠る時間を確保することが体の回復を助けます。
睡眠時間と感染症リスクの関係
睡眠時間が短い人ほど風邪にかかりやすいことが、大規模な調査データで確認されています。これは、睡眠中に免疫細胞が活性化し、体の修復作業が進むためです。
つまり、喉が痛くて眠れない状態が続くと、「痛みで眠れない→免疫が下がる→回復が遅れる→さらに痛みが続く」という悪循環に陥りかねないのです。この悪循環を断ち切るためにも、痛みを和らげて少しでも眠ることが大切です。
完璧に眠れなくても横になる価値がある
眠れなくても横になって目を閉じているだけで、体は一定の休息をとることができます。完璧に眠ることにこだわりすぎると、かえって焦りがストレスになって眠りにくくなってしまいます。
この記事でご紹介した方法(はちみつ白湯、加湿、上体挙上、鎮痛薬など)を組み合わせて痛みを少しでも軽くしたら、あとはリラックスして横になってみてください。痛みが完全になくならなくても、体は回復に向かっています。
病院に行くべき喉の痛みの目安は?
喉の痛みの多くは数日で自然に改善しますが、なかには医療機関の受診が必要なケースもあります。以下の症状がある場合は、早めに受診してください。
すぐに受診すべき危険なサイン
呼吸困難や飲み込めないほどの激しい痛みがある場合は、すみやかに医療機関を受診してください。以下のいずれかに当てはまる場合は、できるだけ早い対応が必要です。夜間であれば救急相談窓口(#7119など)への電話も検討しましょう。
- 呼吸がしづらい、息を吸うときにゼーゼーする
- 唾液を飲み込むことすらできないほどの激しい痛み
- よだれが止まらない(飲み込めないため)
- 口が開きにくい
- 声が出ない、または声が極端に変わった
- 喉の片側だけが極端に腫れている
これらの症状は、扁桃周囲膿瘍(扁桃のまわりに膿がたまる状態)や喉頭蓋炎など、すみやかな治療が必要な状態のサインである可能性があります。
数日様子を見てから受診を検討するケース
緊急性はなくても、症状が長引いたり悪化傾向にある場合は近日中の受診をおすすめします。
- 38度以上の発熱が3日以上続いている
- 喉の痛みが1週間以上改善しない
- 喉の奥に白い膿のようなものが見える
- 首のリンパ節が腫れて痛い
- 同じ症状が1年に何度も繰り返される
受診先は、喉の痛みが主な症状であれば耳鼻咽喉科がもっとも専門的です。発熱や全身のだるさが強い場合は内科でも対応してもらえます。
まとめ
喉が痛くて眠れない夜は本当につらいですが、いくつかの対処法を組み合わせることで、痛みを和らげて眠りにつきやすくなります。
- 夜に痛みが増すのは、炎症を抑えるホルモンの低下、後鼻漏、口呼吸による乾燥が重なるためです
- はちみつ入りの白湯、塩水うがい、マスク着用が手軽で効果的な応急ケアです
- 上半身を少し高くした姿勢で寝ると、後鼻漏や胃酸の逆流を軽減できます
- 寝室の湿度は40〜60%を目安に保ちましょう
- 市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンやイブプロフェン)は就寝30分前の服用が目安です
- 呼吸困難や飲み込めないほどの痛みがある場合は、すみやかに医療機関を受診してください
- 完璧に眠れなくても横になるだけでも体の回復を助けます
今夜は痛みを少しでも和らげて、体を休めることを最優先にしてください。数日たっても改善しない場合は、無理をせず医療機関に相談しましょう。
参考・出典
- The relationship between duration and quality of sleep and upper respiratory tract infections: a systematic review
- The effect of honey on post-tonsillectomy pain relief: a randomized clinical trial
- A pilot, open labelled, randomised controlled trial of hypertonic saline nasal irrigation and gargling for the common cold
- Relative Humidity and Its Impact on the Immune System and Infections
- Head of bed elevation to relieve gastroesophageal reflux symptoms: a systematic review
- Environmental and non-infectious factors in the aetiology of pharyngitis (sore throat)
- Laryngopharyngeal reflux induced sleep-related laryngospasm
- Total sleep deprivation increases pain sensitivity, impairs conditioned pain modulation and facilitates temporal summation of pain in healthy participants
- Sleep Loss and Inflammation
- Association of Insufficient Sleep With Respiratory Infection Among Adults in the United States
- Dose–response in direct comparisons of different doses of aspirin, ibuprofen and paracetamol (acetaminophen) in analgesic studies
- The Impact of Mouth-Taping in Mouth-Breathers with Mild Obstructive Sleep Apnea: A Preliminary Study